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[影を追って…]

Log Days…
一話二話そして三話完結にして「筆おろし」の一通りを書かせて頂きました。
ワタシごときの体験談を飽きずにお読み頂きありがとうございました。
ただ、しつこいようですが、まだ後談が残っているのです。

それを「影を追って…」と題して書かせて頂くことにしました。
お読みいただければ光栄です。

影を追って…。

当時、独身のワタシは、社員寮住まいだった。

あの日出勤後、一応の業務を終え…。
駒小のことを思い浮かべ、途方もない虚しさを覚えながら部屋に戻り…。
まだ酒臭いスーツを脱いで一風呂浴びようとした。

あの夜に、全く気が付かなかったけれど…。
白の下着に付着した、少し薄い紅色の斑紋が何を意味するのか…。
直ぐに理解できることだ。

駒小も自らの最初にワタシを選んだ。
なんの戸惑いも抵抗も無く、そのままを受け入れたのだ…。
やるせない感情に泣いた。誰にも聞こえない寮の屋上に上がって泣いた。

4つ離れなら丁度良い夫婦にもなるだろうけれど、当時のワタシにそんな生活力は付いていない。
例え駒小が受け入れてくれたとしても、駒小の郷里の生活にまで影響することになる。
自身、憧れて入った世界だし、置屋の定めさえあることだから、廃業も簡単にはできないはずだ…とか。
思いつくままに噛合わない現実、矛盾が頭中を駆け巡った。

ワタシの想いは紛れもなく駒小への愛、恋に変わっていた。

駒小への想いと毎日の業務と…でも仕事に追われる時間の拘束が長かった。
そして4か月が経った後だった。
内業を終え、いよいよ現地へ乗り込む時期が来た。

置屋の定めで、駒小とは直接逢えないことは承知していたことだが…。
料亭の女将と置屋のお母さんからは大きな恩を借りた。
忙しさにかまけて、お礼の一つもせずにいた。
その詫びも込めて向かった。

いきなりだった…。
女将から、「駒小が郷里に戻ったそうだ」と聞かされた。
つい2ヶ月前のことだった。
料亭の女将もそれ以上を知る由も無く、置屋のお母さんに問える筋合いもない。

16歳から「仕込み」で住み込み、舞や唄、京言葉に礼儀作法など修行を続けていた。
舞妓になって、20歳頃までには全ての芸事を身に付けて、晴れて芸妓に襟替えする…その適齢になっていた。
確かに厳しい修行だとは聞いたけれど、それが原因なのか…。
駒小に何が起こったのか真相は知る由もない。

あの夜、何か言い残したような喉のつっかえた、苦し気な様子が思い浮かんだ。
あの聞きそびれたことが、それだったんだろうか…。

今は逢えずとも、すぐ近くにいたはずの駒小がもういない。
生まれ故郷の仙崎へ帰ったなら、赴任先の長野の山奥までが途方もなく遠く感じた。
   ・
   ・
仕事に惑わされながらも、いつも影を追いかけていた。
でも、その面影を留めさせる時間がなかった。
仙崎を訪ねる…そういう時間も作り得なかった。

トンネル工事は昼夜兼行が常識で行われる。
毎日掘削は止まることなく進み仕事に追われた。若手社員は雑用も多い。
週40時間の枠など誰が知るかで、無条件の残業も合点承知の世界。
月の休日も2日が限度。休日は疲労回復の睡眠に当てた。
盆、正月の長めの休業日も、若手には留守居番と称して現場の保安管理を命じられた。
・・・そういう時代だった。

抵抗しても少しずつ、諦めのような気配が漂ってきていた。
結婚し、家庭を持ち、子どもも増えた。

駒小の面影が遠く小さく霞んで見えてきた。
時間は、どうしようもない足掻ききれない現象を連れてくる。
流されるままに、また同じような空虚な時間が過ぎた…。
   ・
   ・ 
記憶は疎いが「童謡詩人 金子みすゞの生涯」という単行本を買っていたようだ。
多分、暇潰しにと衝動で買ってから、目次に目を通したくらいで、他の本の下敷きになっていた。

確か5,6年前だった…。
TBSのテレビドラマ特別企画「金子みすゞ物語 -みんなちがって みんないい-」が放映された。
主演は上戸 彩。今井 翼や高島 礼子,西郷 輝彦も出演していたはずで、プロデューサーは 石井ふく子。

金子みすゞは大正時代の終わりに登場した実在の童謡詩人。
物語には26歳で自ら命を絶つまでの複雑な生涯が描かれている。

今でも詩集や小説の愛読者と、彼女の生涯についての研究者も多いようだ。
そういう魅力を秘めた人なのだと思う。

ただ…。
ワタシにとって、金子みすゞの生涯ドラマよりも、史実が展開した場所。彼女の出身地が重要だった。
金子みすゞの生誕地
山口県大津郡仙崎村、現在の長門市大字仙崎。
仙崎は駒小の出身地だ。


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衝撃だった。心が躍った。
"信じていればなにか繋がる”…気休めの言葉は嘘ではないと思えた。
薄れて変色していた追憶が瞬く間に蘇った。
不確かな記憶から見覚えのある本を探し出して読んだ。

でももっと情報が欲しかった。
出版物は多いが、映画の作品が他にもあるようだった。

TBS制作の「明るい方へ 明るいほうへ」の題名で、松 たか子主演のDVDがあった。
紀伊国屋書店からも「みすゞ」の題名で、田中 美里が演じたDVDが販売されていた。

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<参考 金子みすゞ(金子テル) 享年26歳 自死前日>

主人公が生きた時代も人生も、物語の背景も、筋書き全て何一つ一致はしない。
ただ、駒小と同じ仙崎で、不遇な人生を生きた女性がいた。
幸いか、ワタシは駒小の本当の名を知らない…。
駒小の苦労した生い立ちを重ねることには少しの違和感もない。
画面の演者に、何をどう重ねようと妄想しようがそれはワタシの自由だ。

ビデオをかなりの回数、繰り返して観た…。
沖縄に移住して、海を跨いで更に遠くなったけれど、仙崎には行ってみたい。

駒小は今も、そこで生活している…かもしれない。
でももし探し当てれたとしても、きっと、駒小に逢う気は留めると思う。
遠くから、元気で暮らしている姿を一目だけでいい。

止むことなく、駒小の影を追っている…。

いつかは実現させたいが、今は映画が満たしてくれている。

------------------------------- 完 -------------------------------

字句、言葉など書き表す上で選んだりしましたが、ワタシ自身の想いを載せました。
何一つ装飾しないワタシの体験…自叙伝です。
随分と長くお付き合い、お読み頂いてあるがとうございました。

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